先輩なんて呼ばせない



それでも私は……。


「…………ごめんなさい」


陵ちゃんを諦められない。


たとえ陵ちゃんに彼女がいても、陵ちゃんを好きでいることはやめられないの。


この想いは長年育てた大切なものだから、そう簡単には手放せないんだ……。


「そっか……」


肩を落とす彼に、申し訳ない想いでいっぱいになる。


こんな私を好きになってくれて……ありがとう。


「それでも諦めないって言いたいけど、諦めの悪い男なんてイヤだよな」


なんて答えていいのか分からず、苦笑いしか返せないでいると。


「あーー……」


私の後方になにかを見つけた天音くんは、クスリと笑った。


その直後。


「葵!」


激しい声と共に黒い影が現れ、突然腕を掴まれた。


なにごとかと見ると、そこにいたのは息を切らした陵ちゃん。