先輩なんて呼ばせない



「もうさ、ふたりつき合っちゃえばいいのに」


「なっ、なに言ってるのっ。陵ちゃんは私のことそんな風に見てないって」


「そ〜お〜? 向こうもまんざらじゃないと思うけど?」


「そ、そんなことないんだってば」


目線の先で小さくなっていく陵ちゃんの背中。


行きかう友達に次々とちょっかいを出されている彼は、とても友達が多い。男女問わず。


運動神経も抜群で、バスケの腕前は三年生を差し置いてレギュラーの座を勝ち取ったほど。


年々カッコよくなっていった陵ちゃんは、女の子にキャーキャー言われるようになり。


陵ちゃんは、〝みんなの陵ちゃん〞になっていた。


……ほんとにそんなことないんだよ。


私はようやく思い知ったんだ。


結局、私は年下の女の子。


たかが一年。されど一年。


その一年には大きな壁があるのを。


陵ちゃんとちがう上履のラインの色が、今日も恨めしかった。


たった、七日なのに。