先輩なんて呼ばせない



……だよね。


やっぱり陵ちゃんは私を女の子としては見てくれていないんだ。


周りに話している通り、妹みたいなものなんだ。


私はね、ドキドキして仕方がないんだよ?  


陵ちゃんに会うたび、声を聞くたび。


胸が騒いで苦しくて、泣きそうになるの……。


「なんだよ急に。あー、もしかして葵、好きなヤツでもできたのか?」


人の気も知らず、覗き込むように頭を近づけてくる陵ちゃんは、なんて罪深い幼なじみ。


「ひ、秘密だよっ」


膝を抱えて、斜め横を向く。


ふんっと頬を膨らませる私はほんとに可愛くない。


どうして素直になれないの?  


こんなんじゃますます恋愛対象になんてなれっこないよ。


はぁぁ……。


こじらせすぎたこの想いの行き場はあるのかな。


「……ねぇ、陵ちゃん……」


「ん?」


「陵ちゃんがどこかへ行っちゃいそうで怖いよ……」