先輩なんて呼ばせない



どくんっ。


心臓が大きく鳴って、気持ちが沈んだ。


正面から見ると、彼女の美人さが更に際立つ。


カッコいい陵ちゃんとふたりでいると、そこだけものすごいオーラに覆われている。


とてもじゃないけど、あそこに割って入る勇気なんてないよ。


早くも怖気づく。


でも、来ちゃったからにはいつまでもここにいるわけにいかない。


すでに、他の先輩の視線をさっきから浴びて居心地悪いし。


私は呼吸を整えると意を決して、ふたりに近づいて行った。


「あ、綾瀬先輩っ……」


後ろからそっと声を掛ける。


生まれて初めて呼ぶ呼び名に、胸がキリキリと痛んだ。