先輩なんて呼ばせない



ちょっと不安でおどおどしながら陵ちゃんを見上げると。


「とにかく葵、くれぐれも無理すんなよ」


私には、いつものキラキラな笑顔を見せてくれた。


そして私の頭をクシャっと撫でると、保健室を出て行った。


……はあ。


やっぱり陵ちゃんの笑顔は最強だなぁ。


つい、ぽーっとしてしまったけど、次の天音くんの一言で現実に戻った。


「俺、綾瀬先輩に一瞬で嫌われたっぽいな」


「えっ、どうして?」


陵ちゃんが人を嫌うとか、聞いたことない。


悪口だって言わない人だもん。


「ま、なんとなく理由はわかるけど」


その理由は教えてくれず、意味深に笑うだけの天音くん。


どういう意味だろう……?


「葵ちゃんが分からないのは、俺にとって都合いいけどね」


「ん?」


ますます分からなくて、私は首をかしげるだけだった。