先輩なんて呼ばせない



「……っ、これはっ……」


「ケガさせたことは申し訳ないです。でも、この特訓は葵ちゃんのためなんです」


違う、彼のせいじゃないの……そう言おうとしたところで陵ちゃんの目を見て、 きっぱり告げる天音くん。


それに対して、


「今度葵にケガさせたら許さねーから」


見たことないほどに挑発的な態度で、そんな言葉を放つ陵ちゃん。


「気を付けます。でもまあ……葵ちゃんはあなたのものじゃないですよね」


天音くんも同様に。


ああ、どうしよう。


全部私の不注意で、天音くんにはなんの責任もないのに。


こんなことになっちゃって、申し訳ない気持ちでいっぱい。


「まあまあ、ふたりとも落ち着いて」


そばで見ていた保健の先生が苦笑いすれば。


「落ち着いてるけど」

「落ち着いてます」


ふたりの声がそろう。


それ、全然落ち着いてるように見えないし!


わぁぁ……どうしちゃったんだろう。


なんだか空気がピリピリしてるよ。