先輩なんて呼ばせない



陵ちゃんが三月三十日。私が四月六日。


小さいころは、毎年誕生日を合同でお祝いしていたほど家族ぐるみで仲がよく、それは今でも変わらない。いわゆる幼なじみ。


日本の制度では年度違いのため、学年は変わってしまう。


それでも、私たちにはそんなの関係なかった。


はじめて学年の差を思い知ったのは、陵ちゃんが中学生になったとき。  


バスケ部に入った陵ちゃんは毎日帰りが遅く、土日だって練習や試合で家にいないことが多く。


私と生活が一変してしまったことに、気持ちが追い付かなかった。


陵ちゃんが急に遠くへ行ってしまったような気がして、すごく寂しかったんだ。


「ほんっと、朝から仲いいね〜」


亜子の言葉で我に返る。


慌てて足を進めると、追いかけるように彼女もついてきた。


そんなこと言われてくすぐったいなぁ。


顔がジンジンしてる。きっと真っ赤だよ。