先輩なんて呼ばせない



「綾瀬くん、なんだか過保護なお父さんみたいね」


「はあ? お父さんはねえだろー」


激しく同感!  


それ、ずいぶんな言い方だよ。


私が娘ってことだもんね。


せめて彼氏……なんて図々しくて、ムリか。


でも心配してくれたことには変わりなくて嬉しい。


「ふふふ」


陽の光がよく入っているこの保健室のように、心の中までポカポカしていると。


あ……。


天音くんが蚊帳の外になっていて、慌てて陵ちゃんを紹介する。


「えと、こちら私の幼なじみの……」


「二年の綾瀬」


割って入った陵ちゃんの声に、ギクっとする。


ん?  


なんか怒ってる?


普段の陵ちゃんはもっと柔らかな口調なのに、棒読みのようなそれに首をかしげた。


「どうも……葵ちゃんと同じクラスの藤崎です」


ん?  


こちらも同等のそっけなさ。


お互いニコリともしない妙な挨拶に、へんな汗が出てくる。


しかもその後はお互いに、目を見たまま無言だし。