「軽い突き指かしらね。大したことはないけど、無理をしないように」
保健の先生に湿布を貼ってもらい、念のため包帯を巻かれた人差し指。
大したことないわりに見た目は大げさだ。
「ごめんね。俺のせいで」
「ううんっ、自分のせいだからほんとに謝らないで」
謝られるほど心苦しい。天音くんは一切悪くないんだから。
「しばらくは練習もお休みだね」
「ごめんねぇ……。私が一番問題児なのに」
はぁぁ。使えないくせにケガしちゃって。
本気で落ち込んでいると、勢いよく保健室のドアが開いた。
ビクッとして、座ったまま回転いすを回すと。
慌てた様子で保健室に飛び込んできたのは陵ちゃんだった。
「葵!ケガしたってほんとか!?」
……え?
どうして?
「あ、えっと……軽い突き指みたいで……」
指を見せると、見開かれていた陵ちゃんの瞳がホッとしたように細くなった。