「それは期待されてるからだよ。私なんて放置だもん。ある意味怖いよ」
「どっちもどっちだね」
ふたりでため息をつきながら向かうのは購買。
今日は大好きなあげパンが販売されるのだ。
「ねえ、あの子じゃない?」
「ほんとだ」
「〝陵ちゃーん〞って、びっくりしたよね」
購買に着き列に並んでいると、ふと聞こえた会話。
陵ちゃん……?
慣れ親しんだ名前と聞き覚えのある言葉に、胸が反応した。
〝あの子〞って……もしかして、私のこと?
そう思ったら心臓がバクバクしてきて、少しだけ目線を動かしてみる。
会話の主の上履きのラインは二年生の色。
……きっと間違いない。
陵ちゃんのクラスに行った時のことを言われているのだと思い、顔がカッと熱くなった。