先輩なんて呼ばせない



「あっ……」


するとボールは勢いよくコロコロと遠くへ転がっていってしまった。


あわてて追いかけると誰かの足元で止まり、拾い上げてくれる。


「あっ、ありがとうござ……え?」


顔を上げてびっくりした。それは同じくジャージ姿の陵ちゃんだったから。


「陵ちゃん!」


簡単に心が弾む私は、ほんとにこの人のことが好きなんだなぁ。


ここで会えただけでも、今日体育館に来てよかった〜。


「葵じゃん! 葵も球技大会バスケなの?」


「うんそうなの……。それで優勝狙ってるから、って特訓させられてて……」


昨日の気まずさなんて全くなく、いつも通りの会話が出来ることにホッとする。


「まじで? 葵と一緒に優勝しようとか、なかなか度胸のあるメンバーだな」


「陵ちゃんっ!」


「はははっ、うそだって。応援してるよ、頑張って!」