先輩なんて呼ばせない



「いつまでたっても、陵介は葵ちゃんが可愛くて仕方ないのね、ふふふ」


「……っ」


それがおばさんの勘違いだとしても、言われて悪い気にはならず、むしろ単純な私は嬉しくて口元をもごもごさせてしまう。


おばさんにそんなことを思わせるなんて、陵ちゃんは家で私のことをどんな風に話してるんだろう。


陵ちゃんの中に、ちゃんと私が存在していることを知れただけでも幸せで、朝からとってもいい気分だった。






「はー、気が重いなぁ……」


けれどお昼になれば、私の心はどんよりと曇った。


お弁当の蓋を閉めながら口をついたのはそのまんまの思い。


今日からお昼休みにバスケの特訓が始まってしまう。


優勝を目指す山本くんの提案で、そうなったのだ。


幸せ貯金なんて、あっという間に底をついちゃったよ。


「たまにはいいんじゃない? 日頃運動してないんだし」


「私は体育だけで十分だよぉ……」