先輩なんて呼ばせない



どことなく冷たく感じ て肩をすくめる。


いけない。つい見とれちゃった。


すみません……と思いながら、〝陵ちゃーん〞と 念を送ってみるけど気づいてもらえず、仕方なく声を掛けることにした。


「陵ちゃん!」


思いのほか声が大きかったのか、中にいた先輩たちの視線が一斉に私に向けられる。


教室内も一瞬静まりかえり、私は身を縮めた。


全身からぶわっと汗が噴き出す。


「え、〝陵ちゃん〞?」


「なにあの子」


ヒソヒソと話す女の先輩の声がやけに耳につき、いたたまれない気持ちになる。


肝心の陵ちゃんはワンテンポ遅れて首をこっちに振り……私を視界に捉えると、そ の目が見開かれた。


「えっ……」


そして、弾かれたように立ち上がり、戸惑ったような顔で近づいてきた。