先輩なんて呼ばせない



陵ちゃん……。

陵ちゃんが優しすぎて……熱に浮かされて、私このまま倒れてもいいですか……?  

なんて、頭の中でひとり騒いでいると。


「わぁ……」


隣で亜子がため息のような感嘆を発した。


その目はハートで、どこか一点に注がれている。


私もつられて追うと、そこにいたのは背の高い男の先輩。


壁にもたれかかり ながらスマホで話している姿は、亜子が目を奪われるのも納得のカッコよさ。


どことなく漂うクールな雰囲気が、さらにカッコいいオーラを醸し出している。


けれど表情はとても穏やか。


電話の相手はもしかして彼女かな?  


すごく幸せそう。


「なに、涼平のこと気になるの?」


どうやら彼は、涼平先輩というらしい。


陵ちゃんが冷やかすと、「ち、違いますよっ……」 亜子は真っ赤になりながら首をぶんぶん横に振った。


そうだよね、亜子には彼氏がいるもん。

でも、カッコいい男の人を見るとドキドキしちゃうみたい。