先輩なんて呼ばせない



「だっ、ダメだよよそ見してちゃ!ちゃんと授業聞かないと!」


私は自他ともに認める運動音痴 。


あれを陵ちゃんに見られていたと思うと、穴を掘って埋まりたいくらい。


きゅんきゅんしてる場合じゃなかった!


「ははっ。だって授業より葵見てる方が面白いし」


「〜〜〜っ……」


「クックックッ……」


思い出し笑いする陵ちゃんはほんと楽しそう。


ううっ、イジワルなんだから。


今日はソフトボールだったんだけど、私は打つのも走るのも守るもの全然ダメだった。


そんな無様な姿を見られてたなんて……。


ああ、泣きたい。


「でもさ、一生懸命がんばってただろ?」


ドキッ。


長身をかがめて顔を覗 き込まれるようにしてそんなセリフを言われれば、私の身体は一気に熱くなった。


「だからこれは、俺からのご褒美」


続けてクシャリと頭を撫でられて、体温はさらに上がる。