先輩なんて呼ばせない




数日後。


二時間目の体育の授業が終わり、少し長い二十分休み。


私と亜子は飲み物を買いに、購買の自販機へ行った。


疲れたあとは甘いものが飲みたくなるから、体育の後は大抵ここへ来るんだ。


なににしようかな〜なんて悩んだあげく、買うのはいつも大好きないちごミルク一択なんだけど。


お財布から小銭を取り出して、投入口に入れようとしたまさにそのとき。


「えっ……」


うしろからスッと手が伸びてきて、一歩早くコインが入れられる。


うそっ! こんなあからさまな割り込みしてくる人いる?


ガコン、と音を立てて落ちるジュース。


それを拾うために身をかがめるのは、男子生徒。


誰よ……と、ぎょっとしながらその主をたどると、思いがけない顔があってびっくりした。


「はい葵。あげる」


キラキラの笑顔でいちごミルクを手渡してくるのは、陵ちゃんだった。