先輩なんて呼ばせない



「ふーん、俺、その色結構好き」


ゆっくり口角をあげ、向けられた瞳が細くなる。


ドキッ。


いつもの可愛らしい藤崎くんとちょっと雰囲気が違う。


男の人の目……って感じで。


色のことを言っているのはわかるけど、その妖艶な瞳には、なにも深い意味なんてないよね?  


「やだやだ、恋が生まれちゃう?」


私と藤崎くんの間に出来た一瞬の空気の変化に、即座に突っ込む亜子。


「ちょっ、亜子! へんなこと言わないでよっ!」


ケラケラと笑う亜子の肩を、慌てて軽く叩く。


もう、いつもこの調子なんだから!


「あれ? 葵ちゃんは拒否? 俺はいつでもウェルカムなんだけどな〜」


ひょうひょうと返す藤崎くんの目は、いつものクリッとしたものに戻っていたので緊張が解けた。


「藤崎くんまでっ。冗談はやめてよ、も〜」


最後は笑いに変えてくれて良かった。恋なんか生まれるわけないよ。


私には、陵ちゃん以外ありえないもん。好きなのは、陵ちゃんだけだから。