「はい、じゃあ各自みんなで協力して作ってみてください」

調理実習当日になり、班ごとに別れて調理台の周りを取り囲んで座り、一通り説明を受ける。

その説明も終わり、あたし達は椅子を片付けて調理の準備を始めた。

「じゃあ、やろうか?」

表情の固いエレナと彩乃に声をかけたあと、薫子に視線を向ける。

「か、薫子……?」

薫子は椅子から立ち上がろうとしない。

「椅子片付けてきてくれる?そうしないと作れないから」

あたしがそうお願いすると、薫子はにんまり笑いながらこう言った。

「いや」

「えっ……?」

あ然とした。嫌ってどういう意味……?

「ど、どうして?」

「だって、私の言うこと聞いてくれなかったじゃない。だから、私も梨沙たちの言うことは聞きたくない。そんなの当たり前のことでしょう?」

薫子はよどみのない口調でハッキリそう言った。