あるひとは星になると言った。
あるひとは花になると言った。
あるひとはきらめきになると言った。
またあるひとは、木漏れ日になると言った。
ひとは、誰もが美しくいなくなる。神隠しにあったように。
火葬場はとっくの昔に朽ち果て、お墓は守るひとがいなくなり、お葬式は形だけ、大抵挙げられないかつての御伽噺になった。
今はもう、遺影を飾り、遺品を抱きしめて故人をしのぶことしかできない。
ある日SNSに動画が上がった。美しく消えたひとの、最期の動画だった。
そのひとは美しいきらめきになって消えた。
カメラに向かって愛おしそうに微笑んで、涙ぐんで、何か、きっと名前を呼びかけて——そうして、何も言えないまま、消えた。
まるで初めからいなかったみたいに。
その動画はものすごい勢いで拡散され、ものすごい勢いでコメントがつき、感動の涙を流すひとも多かったけれど、それ以上に不謹慎だと批判が殺到した。
動画を上げたアカウントの持ち主は故人の恋人で、これがあのひとの遺言だから、これしか遺品がないからと繰り返した。
その動画は「うつく死」なんて呼ばれ始めていつのまにか社会現象になり、動画を原作にした切ない感動ものの映画が作られ、小説化や漫画化して面白おかしく消費され、少しずつ忘れられていった。
——それがおよそ三年前のことだ。
あるひとは花になると言った。
あるひとはきらめきになると言った。
またあるひとは、木漏れ日になると言った。
ひとは、誰もが美しくいなくなる。神隠しにあったように。
火葬場はとっくの昔に朽ち果て、お墓は守るひとがいなくなり、お葬式は形だけ、大抵挙げられないかつての御伽噺になった。
今はもう、遺影を飾り、遺品を抱きしめて故人をしのぶことしかできない。
ある日SNSに動画が上がった。美しく消えたひとの、最期の動画だった。
そのひとは美しいきらめきになって消えた。
カメラに向かって愛おしそうに微笑んで、涙ぐんで、何か、きっと名前を呼びかけて——そうして、何も言えないまま、消えた。
まるで初めからいなかったみたいに。
その動画はものすごい勢いで拡散され、ものすごい勢いでコメントがつき、感動の涙を流すひとも多かったけれど、それ以上に不謹慎だと批判が殺到した。
動画を上げたアカウントの持ち主は故人の恋人で、これがあのひとの遺言だから、これしか遺品がないからと繰り返した。
その動画は「うつく死」なんて呼ばれ始めていつのまにか社会現象になり、動画を原作にした切ない感動ものの映画が作られ、小説化や漫画化して面白おかしく消費され、少しずつ忘れられていった。
——それがおよそ三年前のことだ。