*** 船を降りた。 けど、中心街までは気を抜いてはダメだ。 誰が見てるかわからない。 案の定、乗客はぞろぞろと私たちと同じ市街地行きのバスに乗り込む。 島の人たちとは、純が行きたいと行った街のすぐ手前にある病院まで一緒だった。 それでもこっちの地元民も多くて、バスの中ではあれこれ話しかけられることなく静か。 バスの中でも他人のまま過ごして、結局、本土に着いても街に出るまで一言も交わせなかった。