「過去の人なんです、菊月は……」

過去の人ということは死んだ人ということだろうか。
もしそうだったとしたら、一大事だ。
あたしは過去の人が見えるようになってしまったということなのだから……

「菊月さんは、亡くなった人だということなの?」
「はい、そういうことになります。
 菊月は、僕たちを護るためにこの世にいました。
 しかし……」
「しかしって?」
「菊月にも生まれ変わるときが来てしまった。
 それは、僕たちを護る人がいなくなってしまったということです」

護る……。
あたしたちを護る人がいなくなったら、どうなるのだろうか。