後部座席で目を閉じてる颯斗に
「マンションの場所説明して」
とコソッと言うと
携帯のアプリを出して
住所を打った。
付き合ってると言う設定なのに
彼のマンションを知らないなんて
ありえないことだから。
そのアプリの指示通り「そこ右です」
「その角左です」と説明して
難を逃れた。
ここに訪れたのは2回目
1度目は歓迎会の時
颯斗が私を預かった時のこと。
専務はマンションの颯斗の部屋の
入り口まで肩を貸してくれ
「明日病院に診せた方がいいと思うよ」
と親切に運んでくれたのだ。
部屋に入った颯斗は
カバンをリビングに投げると
ソファーに倒れ込んだ。
「ねっ!
着替えてベットで寝たほうがいいよ
パジャマはどこ?」
キョロキョロするあたしに
「お前も帰れ」
と命令する。
「学習能力無いわね!
何度言わせるの?
こんな高熱の病人を放置できません」
「お前 付き合っても無い男の部屋に
よく居れるもんだよな」
「病人は別」
「病気の男にはいつもそんなに
親切にしてんのか?」
誰でもこうする訳じゃ無い
颯斗だから。。。
どんなに冷たくされても
ほっておけないだけ。
最後だから。。。
最後に介抱させてよ。。。
ご飯食べさせて薬飲ませて
熱が少し落ち着いたら
ちゃんと帰るから。
「襲うぞ?」
「はいはい
そんな体力無いくせに
好き勝手に言ってていいよ」
そんな気はないのは百も承知
私のことなんて。。。
「バーカ
そっち系の体力はあるよ」
「別に襲われたって減るもんじゃ無いし」
「お前なぁ・・・
そんなこと軽々と言うもんじゃ無いぞ」
「うるさい!黙ってさっさと着替えて」
「わかったから
もっと声のトーンを落としてくれ
頭に響く」
グジグジと言いながらも
私の指示に従い着替えを済ませた。



