「ねぇ!ねぇ!新しい課長見た?」


1階フロントカウンター担当営業課
同期の小川那月(おがわなつき)が
お昼ごはん中に思い出したように
私に言った。


「今日挨拶に来るって言ってたけど
まだ総務課には来てないけど?
何?どんな感じの人だった?」


「どんな?って一言で言うとねぇ」
と言うと那月は一呼吸。


「その間は何!
葛西課長は歳は取ってたけど
すごくいい人だったから
厳しいやり手だったら困っちゃう
そんな系だった?」


「うーん やり手と言えばやり手そう
あの若さで課長だからね」


「げっ。。。マジか。。。
若い人だったんだ」


「そうそう あたしらぐらい?
それか上だとしても1つか2つ?
だけどね!!!
ここが大事!」


「まだあるの?」


「うん!
ち・ち・超!超!イケメン」


「なんだぁ
那月とあたしの好み違うから
イケメンと言われてもねぇ
那月ってば 吉本さんをイケメンって
言ってるぐらいだし」


「イケメンじゃん
違う?」


吉本さんとは営業課の若手エースと
言われているけど
そんなイケメンじゃない
好みの問題だけど。


「とりあえず若い課長さんって
言うことね!
昼から来るのを楽しみにしてるわ
イケメンだったかどうかは
仕事終わりにごはんでも食べながら
報告しますわ」


この先自分の身に何が起きるのか
知りもしなくて
簡単に「報告しますわ」と
他人事だった。