「おい!坂倉ちょっと来い」
主任に呼ばれた。


「何でしょうか?」


「これお前が見積もり出したやつ?」


「はい」


土地と建物で5000万越えの
長島さんという個人の家
細かい見積もりもすべて
計算通りだった。


「木材加工の業者から
突然言われても
この金額では受け合えないって
連絡があったぞ!」


うそ。。。突然言われても!って?
何度も何度も話し合って
金額を出して納得済みだったのに
今更?


「すぐに連絡してみます」


「待て待て最後まで話を聞け!
もう一つの業者からは
納品準備に取り掛かろうとしてるのに
突然キャンセルされたと
連絡があったんだが
どうなってんだ?」


「キャンセル?
してませんけど?
すみません 見積書を見せてください」


手渡された見積もり書を見て
びっくりした。


木材加工の業者が
主に取り扱っている松本木材店ではなく
たまにしか使わない
山本木材店になっているし
しかも考えられないほどの激安の金額。


どこでどうなったの?
確かに長島邸になっているが。


「待ってください
これ違います!
私が作成したのと違います」


「違わないだろ
お前の印鑑が押してあるんだぞ?
いい加減な仕事してんじゃないよ!
寝ながら仕事してるのか?」


そこまで言わなくてもいいじゃん。。。


「今日は課長が
午前中会議でいないからいいけど
この場にいたらどうなっているのか」


あの冷たい目でじろっと見られて
『責任取れ!』の一言だと思う。


いや!違う!これ違うって!


長島様が「一級の木材で」
と言う注文だったから松本木材店にした
山本木材店の方が少し品が落ちるから。


誰かが差し替えたしか
考えられない。


誰か?誰?


松本木材店に断りの電話を入れたのは誰?


とりあえず松本木材店に
電話をかけた。