うん?どこを走ってんの?
っていうか私のアパートの場所を
聞いてないよね?
私 言ってないし
いったい どこへ行く気?


「どこ行ってんの?」


「お前んち」


「こっちじゃないけど?」


「はぁ???
違うなら違うと早く言えよ!
何も言わないからこっちだと思うだろ」


「普通は聞くよね?
家どこだ?って」


「普通言うよな?
家はどこどこ方面よ!って」


「そこは運転手の颯斗が!」


「いやいやそこは
乗せてもらってる立場の人間が!」


「やめよ!また無限のループ」


「あはは だよな」と
笑う颯斗に「マジでね」と笑うわたし。


心底笑い合えたのは
再会してもう1ヶ月が来ようとしているが
初めての事だった。


「で?家はどこ?」


「東区」


「まるっきり反対じゃん」


颯斗はついつい無意識に
自分の家方面に進んでいたと言う。


「じゃあ ここで降りるよ
タクシーでもなんでも使って帰るから
その方がいいでしょ?
颯斗が遅くなっちゃうから」


「バカ言え!
ああそうですか じゃあって
言う男いると思う?無責任だろ
うん?そう言う奴とばかり付き合ってたか?」


素直に言っただけなのに。。。
本当に迷惑をかけるからと思ったから。


颯斗は向きを変えて
東区方面へと車を走らせた。


「なんかごめんね
あたしと付き合った事後悔してる?」


「え?」


「あっ!何言ってんだろう
いいよ答えなくて
答えはわかってるから」


すぐに私は会話を見つけ
話を切り替えた。


後悔してるに決まってる
だって恋愛にカウントされていないって
会ったすぐに言われたから。


「ここだから
ありがとね 気をつけて帰ってね」


「おう!おやすみ」


颯斗の車が見えなくなるまで
見送ったのだった。