「すごいねー」


「紗理奈あんまり英語は得意じゃないから
わかんなくて お姉ちゃん教えて」
と鞄の中からテキストを取り出した。


「テキスト持ち歩いてるの?」


「うん どこでもお勉強出来るようにね」


「すごいねぇ!
だけどね お姉ちゃんもさぁ
あまり得意じゃないんだよね」


「今からの時代は
英語が必要ってパパが言ってたよ」


確かに必要だけれども
英語ができなくても生きていけるから!


そうだ!英語かぁ!
颯斗は得意なはず。


「いい人がいるから待ってて
この前までまたアメリカに
住んでたから英語ペラペラだと思うから
教えてくれると思うよ」


私はすぐに颯斗を呼びに行ったが
独り身の女性社員に囲まれていた。


「ちょっといいですか?
お願いがあるんですけど
こっちに来てください」
と無理やり呼び出した。


横田さんの目が一番怖い
突き刺さるかのように痛い。


「珍しいなぁ お前から
誘ってくるなんて」


「誘いたくて誘ってるわけじゃない」


山口課長の娘さんの英語を見て欲しいと
紗理奈ちゃんの目の前へと
颯斗を連れて行くと
紗理奈ちゃんには超スマイルで
「どこがわかんないの?」と
近づいた。


「英検3級の試験が来週なんだけど
紗理奈あんまり得意じゃないから」


「3級?えっ?3級を受けるの?
あはは」と突然笑い
「3級程度の勉強も教えられないの?
このおねーちゃんは大人のくせにバカだねぇ」
と横目でチラチラ私を見ながら
嫌味を言う。


子供の前でバカにしないでよ!


「バカなのは認めるけど
子供の前で言う必要なくない?」


「本当のことを言っただけのこと」


「でもね!!」
つい紗理奈ちゃんの目の前で
ヒートアップする私。