「おい!手持ち無沙汰なら
これを営業課に届けてきてくれない?」


午前中パソコンの入力を終え
暇そうにしていたわけじゃ無いが
主任からはその様に見えたらしく
雑用を頼まれた。


「あっ!営業課行くなら
ついでにこれも頼む」


柴田さんから
分厚いパンフレットを渡された。


「ゲッ!!!重いじゃないですかぁ」


「それぐらい何てことないだろ
か弱い女を装っちゃって」


「いやいや 普通に重いでしょう!
石本さんどう思います?
軽いイジメだと思いません?」


石本さんは笑いながら
「頑張って」と言うだけ。


颯斗は私たちのやり取りを
聞いているのか聞いていないのか
パソコンの操作をしているだけ。


前課長なら
「課長〜酷いと思いません?」
なんて声をかけ助けを求めるのだが
颯斗に言えば
帰ってくる言葉が決まってるから
「それも仕事の1つだろ
さっさと行け!」
だから 敢えて言わない。


「腱鞘炎になったら
柴田さんのせいですからね
慰謝料請求しますよ」と
笑いながら言って総務課を出た。


エレベーターを待っていると
こんな時に限ってなかなか来ない。


すると颯斗が後ろから現れた。


「あっ!いいところに来た
半分持ってよ」


「行き先が違う」


チン。。。言わなければよかった。


「あれ?颯斗くん!」
そこに1人追加で現れたのは
専務だった。


「須藤専務」


「そろそろ返事聞かせてくれないか?」


「その件はまた」


2人が私を一斉に見た
私が居るから話せないことなのだろう。


「おう そうだな
しかし!!!颯斗くん!
女子社員がこんなに重そうにしてるのに
見てるだけって
そんな冷たい男だったのか?」


「そんなことはないですよ
こう見えてこれ軽いんですよ」


違うし!重いし!
持ってみろよ!と言いたい。