日菜子が
「ねっ!大下将也さんが来てる」と
オレの元へと言いに来た。


大下先輩と言えば
複雑な気持ちになる。


「えっ本当に?」
とすぐに先輩の元へと顔を出した。


「先輩お久しぶりです」
と声をかけると
「え???あーあ颯斗?
なんでお前がここに?」
と不思議そうだった。


「見てわかるように仕事中です」


「ここで働いてんだぁ
ってか後藤?建設?まさかのお前んち?」


「そうです
ぜひぜひうちでお願いします!」


「サービスするならな」


結婚して子供がそろそろ産まれるという先輩
新居を建てるという
幸せ真っ只中!と言う先輩だった。


「お茶でもどうぞ」と
日菜子がお茶を出すと
「え???
日菜子ちゃん?」とびっくりした顔を見せた。


「はい 久しぶりです」


「え?なんで?2人が?
はぁ?まさかのまさか?」
付き合ってると思ってるのかな?


「まさかって?」


「結婚した?」
そこ?そっちにいく???


日菜子はすぐに名札を指差し
「してませんよ ほら!坂倉のままです」
と説明をした。


「あっほんとだ」


奥さんが「誰なの?」と聞くと先輩は
「高校の後輩とその時のこいつの彼女」
と説明し自分の元カノだとは紹介しなかった。


奥さんの手前
日菜子を元カノだと言えないんだな
オレもこの状況になると
言わないかな
後々グズグズ言われたくないからな。


「長いお付き合いなんですね」


奥さんはオレたちが
付き合ってると思っているのかな?


「そーかぁ
安心したよー」
先輩も口を添える。


「安心ですか?」
日菜子が首を傾げて不思議そうにした。


「あのーオレたち ただの仕事仲間で
想像されてるような仲じゃないんですけど」


「そうなん?」


「あの時別れてから一切そんな関係じゃないし」


先輩あの時のことを忘れたんですか?
オレの彼女だと写真を見せたときに
「え?この子オレの彼女って」
そこから始まったのに
オレの日菜子に対する憎しみ。


すると将也さんは
「颯斗ちょっとこい」と
建物の外へと連れ出した。