好きになるには理由があります

 詳しい話はまたメンバーを集めてからということになり、その場は解散したのだが。

 もういい時間だったので、化粧ポーチを取りに総務に戻ろうとしたら、
「一宮」
と杵崎が後ろから呼びかけてきた。

 はい、と振り向くと、
「あの、新橋也美とかいうお前の同期、やけに積極的だったが、巫女さんじゃないよな」
と不安げに言ってくる。

「いや、なんでですか……」

「あまりにぐいぐい来るから、俺を騙そうとしてるんじゃないかと」

「あの、巫女さんが総出で貴方を騙しにかかってるわけではないですからね……」
と深月は言ったが、ちょっと気になっていることはあった。

 ポーチを手に化粧直しにトイレに行くと、ちょうど也美が居た。

 前髪のチェックをしながら、
「お疲れー」
と言ってくる。

「ねえ、也美。
 さっき、やけに杵崎さんに積極的だったけど。

 也美って、杵崎さんのこと好きだったっけ?」

 営業の誰かがいいと言っていたような、と思って訊くと、
「いや~。
 だって、まだ誰かと付き合ってるわけじゃないし。

 何処にチャンスがあって、誰と相性がいいかなんて、ちょっと話しただけじゃわかんないじゃん。

 だから、私、いいな、と思った人が居たら、積極的に話しかけるようにしてるの」
と也美は言う。

 なるほど。