好きになるには理由があります

 はいはい、と思いながら、深月は、
「杵崎さん、今度、みんなで呑みに行きませんか?」
と多少棒読み気味に言った。

「呑みに?」
と案の定、訝しげに杵崎は訊き返してくる。

 自分と杵崎の仲は決してよくはないからだ。

「えーと、コンパです。
 ああ、私は行かないかもですが」

「何故、お前が行かないコンパの話をお前がしてくる……」

 お前が話振ったんだから、お前が幹事じゃないのか、と糾弾された。

 いや、杵崎さん。
 そこはさらっと流しましょうよ~。

 仕事じゃないんですから。

 こういうところが、いい男なのに、モテない理由か?
と思っている間にも、女子たちは勝手に盛り上がり、

「杵崎さん。
 杵崎さん入れて、五人くらいでお願いしますー」
とか言っている。

「俺も居なくてもいいか……?」

 話を振っておいて、深月が行かないと言ったせいか、杵崎もそう言うと、

「やだーっ。
 杵崎さんが来てくれないのなら、行きませんよ~、私~」
とさりげなくテーブルの上の杵崎の腕に触れながら、也美が言った。

 そ、そうか、と言う杵崎は、そんなに表情には出ないものの、ちょっと嬉しそうだった。