好きになるには理由があります

 


 その日、深月は社食で杵崎と一緒になった。
 他のテーブルがいっぱいだったからだ。

 同期の也美(なりみ)が、
「やだもう、杵崎さんたら~」
と楽しげに杵崎と話している。

 深月はそんな杵崎を観察していた。

 なんなんだろうな~。
 杵崎さんと支社長が揉めた原因って。

 やっぱり、女性問題とか?

 などと考えてているうちに、深月の視線に耐えかねたらしい杵崎が、カレーライスを食べていたスプーンを置き、

「無言で見つめるなっ、一宮っ」
と文句を言ってきた。

 あっ、すみません、と謝ったあとで深月は、
「あの~、杵崎さんって、今、彼女とか居るんですか?」
と訊いてみた。

 支社長と彼女を取り合って、揉めたとか?
と思ったからだ。