好きになるには理由があります

「だが、心配するな。
 ちゃんと仕事のことを考えながら、往復していた。

 まあ、途中で、人事部長に見とがめられたが」

 駄目じゃないですか、と思う。

 この若い支社長がちゃんとやるかどうか、おじさんたちはまだ見張っている段階なのに――、
と思っていたが、陽太は、

「いや、そんな顔するな。
 大丈夫だ」
と言う。

「ずっと座っていたのでは、アイディアがまとまらないし、身体が鈍るから歩いてるんだと言い訳しておいた。

 ……だが、そしたら、長い健康トークが始まって。

 ウロついてたことをごまかせたのはよかったんだが、思わぬ時間を食ってしまい、お前はいつの間にか、部署に戻ってた」

 陽太はそう言い、渋い顔をする。

 ああ、と深月は苦笑いした。

 人事部長の健康トーク。

 社食などで出くわすときがあるが、確かに長い。

 この人、律儀に最後まで聞いてたのかと笑ってしまう。

「だがまあ、確かに、このままでは、いずれ、仕事に支障が出てくる気はするな。

 それで、お前を秘書に呼ぼうかと思ったんだが」

 なんだって?