好きになるには理由があります

 そりゃそうだろうな、と思っていると、
「暇ではないんだが。
 朝から一度もお前の顔を間近に見ていないので落ち着かなくて。

 此処に来てみたら、お前が居ないから、カウンターの前を莫迦みたいに何往復もしてしまったじゃないか」
と文句を言ってくる。

 この前を行ったり来たりする陽太を思い浮かべ、
「いや、だから、暇なんですか……」
と思わず繰り返すと、

「いや、だから、暇ではない」
と陽太も繰り返す。

「だが、落ち着かないんだ。
 こんなことは初めてだ」
と陽太は言う。