好きになるには理由があります

「お前との一夜は、お前を愛するために起こった運命的な出来事なんだと信じたい。

 ……決して、神楽を舞うために起こったこととかじゃなくて」

 そう言い、不安げな顔をする。

 あのあと、ホールに戻ると、いきなり練習が始まった。

 足らない舞い手についての話し合いがないなと思ったのだが。

 よく見れば、おじさんたちの間で、謎のアイコンタクトが行きかっていた。

 みんな、陽太をチラと見てから、視線を合わせ、頷き合っている。

 長年の付き合いから読み取ったところによると、こんな感じだ。

『こいつでいいな』
『ああ、こいつで』

『体力もありそうだ』

『イケメンだから、女性陣の手伝いが増えるぞ』

『そうだな。
 清春が来ない日も、こいつさえ居れば……』

『深月に奴を逃すなと言えよ』

 陽太もなんとなくその内容を察し、不安に感じていたようだ。

 仕事では、幾らやり手の陽太でも、実生活では年季の入ったおじさんたちには逆らいがたいに違いない。