好きになるには理由があります





 神楽の練習が終わったあと、陽太は後片付けまで手伝ってくれた。

 おじさんたちが、
「もう帰っていいぞー」
と言った瞬間、陽太は、

「じゃあ、失礼します」
と言って、深月の手を握る。

 な、なんなんですかっ、と言う間もなく、深月はコミュニティセンターから連れ出された。

 そんな自分たちを振り返り見る清春の姿が窓から見える。

 コミュニティセンターの外に出ると、かなり冷え込んでいた。

 慌てて手にしていたコートを着る深月を振り返り、陽太は、
「送ろう」
と言う。

「いや、どうやってですか……」
と深月は思わず言っていた。

 まさか船で……?
と思っていると、

「タクシーに決まってるだろ」
と陽太は言う。

 この人、もしや、船は持ってるけど、車は持ってないとか……。

 いや、そんな莫迦な、と思いながら、

「あ、大丈夫です。
 此処から歩いて帰れますから」
と深月が言うと、

「じゃあ、一緒に歩こう」
と言って陽太は、自分のコートを脱いで深月にかけてくれる。