腰を浮かした陽太は、深月の肩に手を伸ばし、は? という顔をしている深月に顔を近づけて言う。

「だって、キスしたいと思ったときに、すぐに出来ないじゃないか」

 いやいやいやっ、仕事中ですっ、と深月は逃げかけたが、陽太は深月の腰に手を回し、さらに引き寄せる。

 よろけた深月はデスクに手をつき、陽太の胸に額をぶつけた。

「いや、みんなが秘書室にお前を連れ込んでイチャイチャしてるんだろうと言うから。

 俺は人の言いなりになるのがなにより嫌いなんだが。

 そこは言われるがままにやってみようかと――」

 いやいやいや、しなくていいですっ、と深月は赤くなり、陽太の胸に手を触れ、押し返そうとする。

「し、仕事中ですからっ」

「仕事中じゃなきゃいいんだな」
と言いながら、陽太は深月を抱き寄せたまま離さない。