みんな、ちょっと誰かが映るたび、大騒ぎをしながら見ていた。

 支社長、遅いな、と深月は振り返る。

 陽太は仕事先からまだ戻ってきていないのだ。

 なんでだろうな。

 此処には、みんなが居て、家族が居て、友だちが居て。

 でも、支社長が居ないだけで、なんだか落ち着かない。

 式場や結納の関係で、式はもうちょっと先だけど。

 こんなとき、もう、家族みたいだなって思う。

「深月、酒ー」
と誰かがテレビの前から言ってきた。

 はいはい、と立ち上がる。

 祭りのあとなので、寒い北側の和室に酒がたくさん積んであるのだ。