好きになるには理由があります

 


 目を覚ました深月はまだ夜は明けてないようだ、と思った。

 天窓から星が見える。

 横を向くと、陽太は起きていた。

 あのときと同じ状況なのに、全然違う。

 自分の気持ちが……と思いながら、深月はこちらを眺めていたらしい陽太に言った。

「獅子舞の獅子にかぷっとやられる夢を見ました」

「またか」
と言ったあとで、陽太は、

「それはきっと、俺に食べられてめでたい、という夢だな」
と言い出す。

「だって、獅子に噛まれると、一年いいことがあるんだろ?

 でも、俺に噛まれたら、一生いいことがあるぞ」

 そう言いながら、陽太は深月の白い肩に唇を寄せてくる。

「一生、お前を幸せにしてやる。

 神様に負けないくらい、お前を一生見守り、大事にするから……」

 陽太に抱きしめられ、深月は目を閉じた。