「……終わったぞ。
 お前が清らかでなければならない期間は」

 なんだろう。
 この突然、少女期が終わるみたいな宣言は。

 いや、少女という年齢ではないが……。

「祭りのためにお前が子どもでなければならない期間はもう終わった。

 これからは大人の時間だ。

 船で送ろう」

 いや、家はすぐそこなんですが……。

 船が着いてる場所の方が遠いんですけど、と思っていたが、

「送ろう」
と陽太は繰り返す。

 杵崎はおじさんたちと話していて、清春は居なかった。

「大丈夫だ、もう穢れても。
 十二年後には、お前の役は万理さんの子がやると万理さんも言っている。

 っていうか、十二年後、幾ら童顔でも、もう子どもの役は無理だろ」

 どすっ、と来るようなことを言われながら、深月は引きずられていった。