どちらからともなく、強く手を握り、苦笑いとも笑いとも、なんともつかない物を浮かべ見つめ合う。

「今日は釣りでもするか」
と陽太が言った。

「あ、いいですね」

「釣りたてを船で調理して食べてもいいし。
 隣の県までチキン南蛮丼を買いに行ってもいい」

「まだ覚えてたんですか……」
と言いながら、深月は神社の前を通る。

 少し通り過ぎてから、振り返ったが、さわさわと揺れる木々に遮られ、神社の中は見えなかった。