好きになるには理由があります

「本当よ。
 清春と結婚してたら、ただ尽くすだけの人生だったと思うけど」

 そこで、清春が、

 待て。
 いつ尽くしてくれた?
という顔をする。

「智志くんは私に新しい世界を見せてくれたのよっ。
 智志くんっ、ありがとうっ」
と万理はいきなり夫に抱きつき、感謝の意を述べ始める。

 やっぱり、なんだかんだでいい夫婦だな、と深月が微笑ましく眺めていると、いきなり律子が立ち上がった。

「私、結婚してくるっ」

 は? と全員が律子を見た。

「私、今から結婚してくるっ」
と言って、スマホを手に出て行ってしまう。

「おい、律子っ。
 夜道は危ないぞっ」
とみなが声をかけたが、律子は外には出ずに、ホールで話し始めた。

 声が大きいので、此処まで聞こえてくる。