好きになるには理由があります

「ところがどうっ?」
と万理は深月たちの方を指差し言った。

「深月はいきなり全然違う、なんかすごいイケメン連れてきてっ。
 身を引いた私の立場はどうなるのっ。

 って思うんだけどっ。

 でも、程よく呑み会で智志くんに声をかけられて」

 みんなが、ええっ? 旦那が声かけたんだったの?

 てっきり、万理に引きずられて結婚したんだと思ってたっ、という顔をする。

「こういう純朴な人もいいなあって思ったのよ。

 初めてこっちが尽くしてもらえて、どきどきしたっていうか。

 顔は好みじゃなかったけど……。

 大事なことはそんなことじゃないんだってわかったわ。

 自分が好きな相手より、自分を好きな人と結婚した方が幸せになれるって、昔、どっかの誰かが言っていたけど」

 いや、誰だ、どっかの誰か、とビールの入ったプラスチックのコップを手に深月は思っていた。