好きになるには理由があります




「万理ーっ。
 なんで、お前、マンションなんぞ買ったんだよっ。

 うちの畑売ってやるって言ったのにーっ」

 宴会が始まり、既に出来上がったおじさんのひとりが万理に絡み出した。

「だって、住んでみたかったのよーっ。
 最新の設備なんでもそろってるし。

 ゴミだって、自分で捨てにいかなくてもいいしー」

「ねえ、智志(さとし)くん」
と言われ、呼び出されて一緒に呑んでいた万理の夫、智志は、ははは、と小さく笑う。

 完全に尻に敷かれているが。

 まあ、これもまた幸せの形なんだろうな、と思いながら深月は眺めていた。

 こうして見ると、いろんな夫婦が居るなーと思いながら、おじさんおばさんたちも眺める。

「結婚か」
と律子が呟いた。

「恋愛と結婚は別だなって、最近、ほんと思うのよね。
 いっちゃんのことは、ほんと好きなんだけどさ。

 あ、清春の次にね」
と付け足したあとで、律子は酒を手に溜息をつく。