好きになるには理由があります

 則雄はもともと褒めて伸ばすタイプで、上手く調子に乗せてくれる人なのだが。

 杵崎に関しては、本気で褒めているようだった。

 昔から、なんでも要領よくこなす男だった杵崎は、今も筋がいいと褒められている。

 うっ、俺が苦労したのと同じ足さばきを一瞬でっ、
と衝撃を受けながらも、

 だが、神が舞い降りるのは俺だっ!
と思ったとき、後ろから扇子で脳天をはたかれた。

「何処見てんだ、ちゃんとやれよ」

 清春だった。

 さっきから清春と合わせて舞っていたのだが、杵崎の方が気になって、つい、チラチラ窺ってしまっていたのだ。

「集中しろよ。
 そんなんじゃ深月に呆れられるぞ」
と清春は痛いところ突いてくる。

 清春はチラとこらちを見たあとで言う。

「まあ、深月も今は新しい男が物珍しいんだろうが。

 結局は、ずっと近くに居て、見守っていた俺の方いいと気づくに違いない」
と言われ、ぐっとつまった。

 確かに。
 深月は清春と居るときの方がリラックスしている。