好きになるには理由があります

「誰かずらしてるんじゃないのか、お前、とろくさいから」

 清春さんとか、と言う杵崎に、
「いやいや、清ちゃんは部屋に勝手に入ってきませんから」
と言うと、

「昔からか」
と訊かれた。

「そうですね、そういえば」

「じゃあ、昔から意識してたんだな、やっぱり」
とこちらを見ずに杵崎は言う。

「そうだ。
 今度から俺も毎回、神楽の練習には顔を出すから」

「え、そうなんですか?」

「……俺もやることになったんだ」

 そこで、ようやく顔を上げた杵崎は、深月をまっすぐ見つめて言ってきた。

「神楽をだよ」