好きになるには理由があります

 


 翌朝、深月は秘書室で杵崎に、

「どうした。
 今日は遅かったじゃないか」

 俺まで遅刻するところだった、と言われた。

 ……いや、駐車場で待っててくださらなくていいんですよ、と思いながら、深月は杵崎と向かい合い、仕事をしていた。

「それが私の部屋の時計が七時二十分だったから、まだ早いなと思ってたんですけど。

 いつの間にか、止まってたみたいなんですよねー。

 どうも、夜の七時二十分だったみたいで。

 リビングに行ってみたら、もう七時十五分だったんです」
と深月が言うと、

「もしかして、部屋の時計は早くしてんのか?
 早め早めに動けるように」
と杵崎がパソコンを見たまま訊いてくる。

「っていうか、家の時計、どれも違うんですよね。
 私の部屋が七時二十分のとき、清ちゃんの部屋は七時十分で、リビングは七時なんです」

「お前の家は時差があるのか……」
と言われ、

「いやー、勝手にずれるんですよねー」
と深月は答える。