好きになるには理由があります





 今日はゆっくり食事をしすぎて、自転車を家に戻しに行く暇がなかったので、陽太が自転車を押して歩いていたのだが。

 今、高校生のようなカップル、と言われたことを陽太は気にしていた。

 そうだな。

 二人きりで夜道を歩いているのに、なにをするでもなく、自転車を押しながら家まで送って終わりとか。

 既に関係を持った男女のすることではないな。

 ……まずい。

 なにかしなければっ、と陽太は焦る。

 せめて手くらい握るべきか。

 そう思った陽太は自転車を右手で押しながら、左手で深月の手の位置を探り、握ってみた。

 細いのに柔らかな深月の指にどきりとしながらも、平然としているフリをする。

 動揺を隠すために、ぎゅっと強く握ってみた。