好きになるには理由があります

 やがて、鬼の舞がそれなり形になってきた陽太は、今度は、清春と二人で舞い始める。

 こちらは面をつけない舞だ。

 手伝いという名目で、清春を見に来たとかいう、よその地区の女子高生が、自分のおばあちゃんに訊いているのが聞こえてきた。

「ねえねえ、清ちゃんと一緒に舞ってる、あの人誰?」

 興味津々、陽太のことを訊いているようだった。

 そんな女子高生の話し声を聞きながら、深月は休憩中の陽太のところまで行った。

 やっぱり、あの晩、なにもなかったと陽太に教えるべきだと思ったからだ。

 なにかあったと思っているからこそ、悪いと思って、今まで大事にしてくれていたわけだし。

「あの」
と呼びかけると、ホールの隅に座り、おばちゃんにもらったペットボトルのお茶を飲んでいた陽太が深月を見上げた。