突然、此処から飛び降りようとか言い出した怪しい陽太が操舵室に行ったあと、深月は立ち上がり、ベッドまで行ってみた。
寝室との仕切りは普段は開けられているので、リビングから丸見えだし、すぐに行ける。
深月はベッドをぽんぽん、と叩いてみた。
ちょっと座ってみる。
ちょっと寝てみる。
待てよ。
寝てみるはちょっと恥ずかしかったか、と起き上がったときにも、まだ陽太は高岡と話していた。
……なに話してるんだろ。
なんだかわからないが、嬉しそうだな、と陽太の笑っている顔を見て、深月も微笑む。
そして、支社長に気づかれないうちに、と深月は窓辺に移動し、外を眺めるフリをした。
いつも自転車で走っている海岸線沿いの道が見えた。
湾になっているので、ゆるやかなカーブを描いているその道を多くの車が走っている。
この道は、普段はそんなに交通量は多くないのだが、今はちょうど帰宅ラッシュの時間帯なので、さすがに多い。
ぼんやり自宅へ帰る車の列を眺めていると、陽太が戻ってきた。
「そろそろ食事にするか」
と言う。



