好きになるには理由があります





 陽太は向かいの一人掛けの椅子から、一点を見つめている深月を眺めていた。

 何故、ベッドを見つめているんだ、深月っ。

 俺を誘っているのかっ?

 だが、今日は操舵席に高岡さんも乗ってくれている。

 ゆっくり船で食事しようと思ってのことだ。

 高岡さん、飛び降りてくださいっ、と言うわけにもいかないし。

 そんなこと言ったら、人のよい高岡さん、びっくりだ。

 本当に飛び降りかねない、と思ったあとで、

 いやまあ、ちょっと冷静になれ、俺、と陽太は気を落ち着かせる。

 ……深月が俺を誘ったりするわけはない。

 まさか。

 思い出しかけているとか? あの夜のことを。